セルの範囲名の活用
セルの範囲名とは
セルの範囲名活用の利点
セルの範囲名の設定要領
[名前の管理]フォーム
Excelでは、セルの範囲に名前を付けて、関数・条件付き書式・入力規則などのデータ参照で有効に活用できます。
名前を付けておくと、計算式の入力の際に名前を指定するだけでセル参照ができるようになります。
名前を使用することにより、メンテナンスが容易になります。
範囲に着けられた名前が、自動的に参照される状態になり計算式が見やすくなります。
名前は、シート単位で付けたり、ブック単位で付けることができます。
「名前の管理」をクリックし表示されるフォームを使用すると、名前の更新などを簡単に実行できるようになります。
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1 メンテナンスが容易
メンテナンスが容易になることが、名前を使用することの最大の利点と言えます。
名前を計算式に直接入力することで、セルの参照に代えることができます。
その他にも、入力規則や条件付き書式などでも幅広く活用することが可能です。
(1) 名前を使用しない場合の不合理について
計算式は、下図の様にセルの番地で範囲を指定するのが一般的です。
しかし、商品参照データは頻繁に追加されたり・削除されたりします。
そんな時、計算式で参照範囲をセルの番地で指定する場合は、参照元の範囲に変更に伴い
商品名の列:「=IF($C4="","",VLOOKUP($C4,$I$8:$K$14,2,0))」
商品名の列:「=IF($C4="",0,VLOOKUP($C4,$I$8:$K$14,3,0))」
の様に、計算式の参照元の範囲を変更しなければなりません。
1か所や2か所ならばその作業も苦にはなりません。
しかし、
手をかけた便利なExcelファイル程、一つの範囲を
・多くの計算式で使用したり、
・複数のセルで入力規則として参照されます。
当然、それらを編集するには、一つ一つ計算式を変更したり、設定を変更しなければなりません。
(2)
セルの範囲に名前を付けて参照する場合の合理性
計算式(VLOOKUP関数)で商品マスターの範囲を参照
( I8~K13のセルに「商品マスター」という名前が設定されているものとします。)
商品の追加が発生した場合、名前の参照範囲を追加
「aaa7 サンドイッチ 150」の商品が追加されたとします。
その場合の対処方法としては、
・名前の参照範囲を変更(1行追加)
・計算式の変更は不要
(3) 計算式で名前を参照する方法のメリット
・名前の範囲を変更するだけで、計算式の参照範囲が自動的に変更される。
名前の参照先が多ければ多いほど、その効果が大きい
・名前を参照している計算式を、探し出す必要がない。
計算式が複雑に絡み合うワークブックほど、その効果が大きい
・名前の範囲を自動的に変更する方法(後述)も設定可能
OFFSET関数で名前の範囲を変更する作業も不要
商品マスターの表に、商品を追加・削除するだけで自動で参照範囲を指定可能
上記の様な理由から、
メンテナンスが容易または不要になり、作業効率を大幅にアップ
作業忘れによる、錯誤・計算ミスなどから解消
2 計算式が見やすく
目的がはっきりしない情報には、名前を付けることでその用途がわかりやすくなります。
税込み金額を求める計算式を、セルの番地と範囲名を付けた場合で比較してみましょう。
セルのアドレスで計算式=E4*$A$2
セルのアドレスで計算式=E4*税率
税率の名前が表示されるだけで、計算式の意味が理解しやすくなります。
絶対参照への、変換忘れもなくなります。
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3 一意の名前を付ければ、動的に参照可
セル範囲に一意の名前を付ければ、動的に参照範囲を変えることができます。
(例:下の図では、「学部名」、「地方」、「北海道」・・・の範囲名を設定しています。)
例: 地方のセルに「九州」と入力⇒県名のセルでは九州地方のリストが表示
また、「東北」入力すると、「県」のセルでは東北地方のリストから選択できる様になります。
詳しい方法は、後で詳しく紹介します。
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4 OFFSET関数を使用すれば、データの件数に応じて範囲を可変
範囲名は、一度設定した後に構成要素が増減することも考えられます。
そんな時、その都度名前の範囲を変更しなければならないのは厄介なものです。
また、追加・削除だけして名前の範囲を忘れてしまい、
追加したはずの要素が追加されていない・・・
要素を消去したところが空白になってしまう・・・
など、慌てて名前の範囲を変更しなおさなければならない。
と言うような経験が誰にもあるのではないですか?
OFFSET関数を使用すれば、自動的に新しい参照範囲が適用されます。
面倒な作業が自動化されることにより、この煩わしさから解消されます。
Excelをビジネスにフル活用したいと思っていらっしゃる皆さんには是非マスターしてほしいテクニックです。
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セルの範囲に名前を付ける基本的な手順を紹介します。
E4セル:「担当者」⇒範囲の名前
E5~E10セル:それぞれの名前が入力されています。(「担当者」の名前を付ける範囲)
<名前ボックスに名前を入力する方法>
最も簡単に、範囲に名前を付ける方法です。
(OFFSET関数を使う時にはこの方法は使用できません。)
1 E5~E10の範囲を選択する。
2 [数式バー]の左側にある、[名前ボックス]に、「担当者」と入力する。
3 [Enter]キーを押し、名前ボックスに「担当者」が確定される。
(日本語入力モードで入力中の場合は、[Enter]キーを2回押してください)
注1:日本語入力中の場合、[Enter]キーを1回押しただけでは日本語入力された状態
注2:名前ボックスの値を確定するために、もう一度[Enter]キーを1回押し名前ボックスを確定させる
これで設定完了です。
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<[新しい名前]フォームで設定する方法>
OFFSET関数で参照範囲を可変にする場合は、この方法で行います。
1 E4~E10の範囲を選択する。
2 [数式]タブを選択⇒[定義された名前]グループの[名前の定義]の▼を選択⇒[新しい名前]
3 [新しい名前]フォームが表示される。(名前の欄に「担当者」が設定されている)
4 参照範囲の「=Sheet1!$E$4:$E$10」⇒「=Sheet1!$E$5:$E$10」に変更します。
これで設定完了です。
注3:OFFSET関数を使用する場合は、この参照範囲の枠内に以下の例で入力する。
「=OFFSET($E$5,0,0,COUNTA($E$5:$E$20),1)
」の様に入力する。
「COUNTA($E$5:$E$20)」はE5~E20セルまでのデータ数をカウントします。
その件数の分の行数だけ名前の範囲として適用されます。
注4: データの間に空白が入ると、正しく範囲が適用されないため注意が必要です。
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セルの範囲に名前を付ける場合、その名前が大量になることがあります。
その大量の名前を管理するために、「名前の管理」という機能があります。
新規作成/編集/削除/参照範囲の変更などの処理が可能です。
1 [数式]タブを選択⇒[定義された名前]グループの[名前の管理]をクリック
2 [名前の管理]フォームが開く
3 新規作成、編集、削除など目的に応じ処理が可能なフォームになっています。
名前を選択して、それぞれのボタンをクリックしてみてください。
2003以前のバージョンに比較して、名前の管理がしやすくなっている気がします。
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